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絶景の渓谷美!徳島の祖谷渓ツーリング

祖谷渓へ至るワインディングは冒険の始まり

徳島県三好市、四国山地の奥深くを削り取って流れる祖谷渓は、日本三大秘境の名にふさわしいスリリングな道の宝庫です。国道32号で大歩危小歩危の岩肌を横目に吉野川を渡り、県道45号にスイッチすると、いきなり勾配10%超のタイトコーナーが連続。深い谷に向かって落ち込む斜面と、頭上に迫る急峻な山が作り出す圧巻の立体感に、スロットルを開ける手が思わず慎重になります。路面は全体的に整備されていますが、落石と路肩の湧き水には要注意。途中に現れる「ひの字渓谷」展望所では、祖谷川が大きくカーブして描く“ひの字”の景を一望。春の新緑、夏の深緑、秋の燃えるような紅葉と、季節ごとに表情を変える渓谷美を前に、ヘルメット越しの視界が思わず広がります。祖谷渓エリアはガソリンスタンドが少なく、大歩危駅周辺を最後の補給ポイントと考えると安心です。スマホの電波も一部圏外になるため、オフライン地図を事前に用意しておくと道迷いを防げます。往復で120km、休憩込みで4〜5時間を見ておけば、日帰りでも余裕を持って秘境を味わえます。

かずら橋と小便小僧、秘境ならではの絶景を制覇

200mの断崖上に張り出した岩場に立つ「小便小僧の像」は、祖谷渓ツーリングの記念撮影定番ポイント。切り立ったV字谷をバックに愛車を並べれば、秘境感あふれる一枚になること請け合いです。そこからさらに5km走れば国指定重要有形民俗文化財「祖谷のかずら橋」。シラクチカズラを編んだ長さ45mの吊り橋は、木製の桟の隙間から川面が透け、歩くだけで膝が震えるスリル。バイクは渡れませんが、近くの駐車場に停めて歩けば“走りと歩き”両方で渓谷を味わえます。時間に余裕があれば、標高を一気に上げて奥祖谷二重かずら橋と落合集落まで足を伸ばすのもおすすめ。山肌に貼り付くように点在する茅葺き民家と段々畑が、まるで昔話の絵巻のように広がります。途中の県道32号は幅員1.5車線ほどの細道ですが、路肩のミラーやカーブサインが増設され、見通しの悪いコーナーも適切に補助されているので、極端に怖気づく必要はありません。日没後は外灯がほとんどないため、訪れるなら16時前に峠を下り始める計画がベターです。

走った後は祖谷そばとでこまわしでエネルギーチャージ

峠の冷気で体が少し冷えたら、県道45号沿いの「祖谷美人」や道の駅「大歩危」へ。太く短い独特の麺を手早く食べる山里の知恵から生まれた「祖谷そば」は、噛むほどに蕎麦の香りが濃く、出汁の利いたつゆが染み渡ります。囲炉裏でこんがり焼く郷土料理「でこまわし」は、石豆腐・そば団子・こんにゃくを串にさし、甘い柚子味噌を回し付けながら焼いたもの。表面の香ばしさと中の素朴な味わいが、長時間のライドで減ったエネルギーを優しく補給してくれます。四国山地の清流で育ったアメゴや鮎の塩焼きも絶品で、皮の焦げ目にレモンを搾れば、山の香りと川の恵みが一皿で堪能できます。さらに時間があれば、ケーブルカーで谷底へ下りる「祖谷温泉」の露天風呂へ。硫黄を含まない柔らかな単純泉が疲れた筋肉をほぐし、湯船から望むエメラルドグリーンの祖谷川が目の疲れまで洗い流してくれます。温泉で完全回復したら、土産には祖谷ゆずのジャムや木頭ゆずサイダーも忘れずに購入し、ほのかな酸味がライダーをリフレッシュさせてくれます。帰路は大歩危ICから徳島道へ。夕暮れに染まる山の稜線をバックミラーに収めつつ、秘境を走破した達成感に浸りながらスロットルをひねりましょうね